【病院とアート】トップ
2016年4月10日 at 5:12 PM
■アートが病院と出会う~筑波大学の環境が生み出したコラボレーション
筑波大学は国立大学で、芸術系の学部と医学系学部(および大学病院)が併設されている稀有な環境にある。
さらに、芸術系の学部のみならず、全学部の共通履修可能科目として「芸術」があり、その中で先進的な取り組みである、大学を開くアート・デザインプロデュース演習(ADP art design produce)という科目がある。
アートとデザインに何が出来るのか。社会との関わり、実践的な視点からアートとデザインの可能性について、プロジェクトのプロデュースを通して考えるというこの演習のテーマは、芸術系の学科と大学病院の連携によって生み出されてきた成果に基づいている。
筑波大学附属病院および筑波メディカルセンター病院の協力のもと実施された、アートとデザインによる社会貢献のプロジェクト型の実践的な教育は、文化庁の助成プログラム「いきいきホスピタル」にも選択され現在も続いている。
・入院患者の生活にワークショップなどのアート体験を提供
・病院の建築空間などの造形・デザインを快適なものに
・アーティストの活動の場としての病院
・患者のメンタルなケアを支援する活動
これらの取り組みは筑波大学独自の取り組みであり、海外からも注目されてホスピタルアートの先進国であるイギリスでメソッドを紹介するまでに至っている。イギリスではすでに病院でのアートマネジメントの専門ビジネスが存在しているが、日本にはまだ事例が少ない。この取り組みを経て育った学生が職業としてのアートコーディネイターの道に進んでいる。
本特集は実際にどのような学びが行われているのか、以下のプロジェクトを推進、実施してきた教員・学生のインタビューを通じ紹介していく。
社会貢献プロジェクトの中で3C力が育成されていく
多くの地域における芸術を活用したプロジェクトに関わってきた貝島先生は、病院というフィールドでの授業をデザインした一人だ。指導を通じて学生たちが起ち上げた、主だったプロジェクトを紹介する。
①授業から派生したアートプロジェクト
筑波大学
芸術系 准教授(建築デザイン)
貝島 桃代
病院という環境の中のアートをプロデュースする
佐藤恵美さんは、病院を作品展示の場としてアーティストが取り組んだプロジェクトの運営サポートを通じてアートマネジメントについて学んでいる。
②アーティスト・イン・ホスピタル
筑波大学
芸術系 研究員
佐藤 恵美
村上史明先生は、病院内のメディアに提供するコンテンツのプロデュースとメディアアートによるワークショップを手掛けている。
③医療空間におけるメディアアートプロジェクト
筑波大学
芸術系 助教(総合造形)
村上 史明
ケアを支援するアート
アート作品の持つ力が、場に及ぼす力は大きい。仏山教授は、公共の場での壁画制作の経験をもとに学生達を指導してフレスコの壁面を制作した。
④患者図書室の空間デザインと壁画制作
筑波大学
芸術系 教授(洋画)
仏山 輝美
大嶋さんは、病院の庭園を新たな癒しの空間として、アート作品やワークショップを展開するプロジェクトの運営を行ってきた。
⑤ガーデンプロジェクト
筑波大学
人間総合科学研究科 博士前期課程 芸術専攻 環境デザイン領域
大嶋 千尋
国際的な視点と評価
フォンデヴィリア先生は、イギリスの大学病院との交流プログラムを通じて筑波大学のメソッドを紹介している。
⑥イギリスと日本の病院アートマネジメントの違いと学び
- 筑波大学
芸術系 助教(外国語,芸術支援)
Herbeth L Fondevilla (ハーベス・リム・フォンデヴィリヤ)
プロジェクトを通じてはばたく人材
筑波大学附属病院と、筑波メディカルセンター病院には、本プロジェクトを通じて育成された人材がアートコーディネイターとして勤務している。実務を通じて得られた知見とビジョンとは?