窪田悠介助教の論文が Linguistic Inquiryに掲載されました(170523)

代表者 : 窪田 悠介  

国際テニュアトラックの窪田悠介助教は、著者らの提唱する文法理論である、ハイブリッド範疇文法 (Hybrid Type-Logical Categorial Grammar)における疑似空所化の分析を提案しました。

 

 

 研究の概要

英語の文法には、「擬似空所化」と呼ばれる現象が存在します。これは、例えば、以下の文において、2つ目の“dated“が削除されるような現象です。

 

Mary hasn’t dated Bill, but she has dated Harry.

 

擬似空所化構文については、現在の理論言語学における削除現象に対する二つの主要なアプローチである、「削除」されているものが文構造の一部であるという立場と、二つ目の節において欠けているものは構造ではなく動詞の意味だけであるという立場のどちらにとっても問題となる現象が存在し、英語の削除現象の中でも特に分析が困難な現象として知られています。本論文では、文の構造と意味との対応関係を、論理学の推論の概念を用いて厳密かつ柔軟にモデル化することで、先行研究における二つのアプローチの主要な課題を克服する分析が可能になることを示しました。

 

論文

Pseudogapping as Pseudo-VP-Ellipsis