代表者 : 横井 智之
筑波大学生命環境系の横井智之助教、近畿大学農学部の香取郁夫准教授らの研究グループは、単独性ハナバチの一種であるミナミスジボソフトハナバチの生態を調査し、このハナバチでは、昼間はオスもメスも単独で行動しているにもかかわらず、夜には垂れ下がった葉などにそれぞれの性ごとに集団を形成します。その越夜行動に関して新たな発見をしました。
越夜に加わる個体は、基本的に一本の枝や葉の上に一列に並んで集団を形成することはすでにわかっていました。しかし、その集団内でのポジションにどのような意味があるのかは不明でした。今回の研究により、オスもメスも形成する集団の大きさにはばらつきが見られること、メスは卵巣が十分に発達した個体が集団に参加していることがわかりました。さらに、メスの越夜集団では、垂れ下がった植物の葉などに最初に到着した個体ほど、地面に最も近いポジション(先端部)を選ぶ傾向があることを発見しました。この行動には、夜間に襲ってくる捕食者に対して、下のポジションを得た個体ほど、上にいる個体を犠牲にした捕食回避効果があるものと考えられます。