特定の悪性リンパ腫を引き起こす発がんメカニズムの発見

筑波大学医学医療系の千葉滋教授・坂田麻実子准教授らの共同研究グループは、特定の悪性リンパ腫でみられるRHOA遺伝子変異による異常なタンパク質がVAV1タンパク質と結合すること、これによりT細胞受容体シグナルを異常に活性化することを発見しました。

今回の研究では、G17V RHOA変異によって生じた異常なRHOAタンパク質がT細胞受容体シグナルを伝達する分子であるVAV1タンパク質と結合し、VAV1タンパク質の異常な活性化(リン酸化)を起こすことがわかりました。また、G17V RHOA変異がない場合の一部の場合では、VAV1遺伝子に異常があり、VAV1タンパク質の活性化を自己抑制する仕組みが壊れて異常な活性化がおきていることがわかりました。VAV1タンパク質の活性化は、T細胞受容体シグナルの活性化を起こし、これは他の血液がんで使用されているチロシンキナーゼ阻害剤により阻害されました。

以上の発見から、これまで治療が困難だった悪性リンパ腫の一部について、特異的なゲノム異常に基づく新規治療方法の創出が期待されます。