理系の学生だからこそビジュアルデザインを学び、研究に活かす ─田中佐代子先生

理系の学生だからこそビジュアルデザインを学び、研究に活かす
イラストの制作を通し、クリエイティブな視点・思考を育成する授業を展開

 

学ぶのはイラストの制作だけでなく、研究発表に必須のスキルと視点

 Illustratorを使用し、ビジュアルデザインの基礎も学ぶ共通科目:「芸術(イラストレーション)」。芸術専門学
群以外の学生を対象とした授業で、理系学生の履修が多い。「理系の学生にとって、学会での研究発表や研究費
の申請書作成など、自身の研究内容を分かりやすく伝えることが重要となるシーンは多い。研究能力だけでなくビ
ジュアルデザインのスキルも必須と言えます」と田中氏。授業では、フラスコやシャーレといった実験道具を手始
めに、ウィルスや染色体、DNAなどのモチーフを描き、Illustratorの基礎的な操作を身につける。またカリキュラム
の最後には学生自身を投影したキャラクターを作成、それを用いた名刺を制作する。「最初に学生には、優れたデ
ザインを分析し、まねることが大切と伝えます。また、IllustratorやPhotoshopなどのデザインツールを使って制作
したものを、従来の研究発表資料と比較し、その差を実感させることも。画像と文字のバランスや、どのような書
体・色が効果的なのかなど、デザイン的な視点・思考を養うことにも重きを置いています」とも述べています。

 

他分野の学生とのグループワークにより、専攻分野だけでは学べないスキルを獲得

 夏季休暇中の3日間を利用して集中的に行われるのが、芸術専門学群とそれ以外の学群・学類の3・4年生を対
象にした「サイエンスビジュアリゼーション演習」だ。授業では、生命環境系や医学医療系の教員が提示する科学
領域の難解な課題を、視覚的に解説するイラストをグループワークで制作。グループにはさまざまな学群の学生が
配され、専攻分野の知識を互いに教え合い制作を進めていく。「他分野の学生とグループワークを行うことで、コ
ミュニケーションスキルが向上し、それぞれに不足しているスキルが学べます。芸術専門学群以外の学生はクリエ
イティブな観点が得られ、自身の研究に役立つビジュアルデザインスキルが身につけられます。一方芸術専門学
群の学生は、科学的な視点が得られ、また研究発表などでイラストがどのように使われているかを知ることで、出
口を意識した制作活動に取り組むようになります」と田中氏。授業ではまた、制作物の解説文の作成やプレゼン
テーションまで行っており、研究者に必須のライティングやプレゼンテーションの能力も鍛えられる。このようなビジュアルデザインの学習を通し、同学では多角的な視野と発想力を持つ未来の研究者を育成している。

 

共通科目:「芸術(イラストレーション)」で制作されたDNAのイラスト。ほかにも染色体や抗体、マウスなども描く

「サイエンスビジュアリゼーション演習」の作品。固体地球物理学からの課題「プレートテクトニクス」をスープに例えている
(課題の提示と指導/生命環境系 八木 勇治, イラスト制作/生物資源学類服部 暉, 2016)

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