難解な特許も動画でやさしく解説。伝えることを意識し、他者の視点に立った作品からコミュニケーションが生まれる ─村上史明先生

難解な特許も動画でやさしく解説
伝えることを意識し、他者の視点に立った作品からコミュニケーションが生まれる

インフォグラフィックスを用い、より気軽に特許に触れられる動画を制作

 「産学連携プラットフォーム」のWebサイトには、医療からロボット、食品まで幅広く、参加大学・機構が持つ技術情報を解説した動画が公開されている。筑波大学では2018年4月より、芸術系の学生が村上氏の指導を仰ぎながら、情報やデータを視覚的に表現したインフォグラフィックスと呼ばれる動画を制作している。作業は主にIllustratorでイラストを制作、After Effectsで編集。農業用ドローンの活用方法や低価格でかなう小型人工衛星の開発など、書面では100ページを超える特許の解説を約5分の動画にまとめる。また、動画には静止画像だけでなく、アニメーションやモーショングラフィックスを多用している。「動画の目的は、特許技術の存在を企業に知ってもらい、実際に利用してもらうこと。そうした活用に繋げていくためにはまず、特許=専門用語が多い、難しいというイメージを覆す必要があった。幼い頃から慣れ親しんでいるアニメ―ションなどを用いることで、動画に対する敷居がぐっと低くなり、気軽に視聴してもらえる」と村上氏。完成した動画は投稿サイトにもアップされ、より多くの視聴者のもとに届けられている。

 

環境をふまえたデザインこそが、伝わる作品を生み出す

 村上氏が手掛ける作品は、受け手を意識した分かりやすいデザインが特徴的だ。以前、筑波大学附属病院か
らの依頼を受け、院内で流す動画を制作した。インフルエンザなどの症状を解説するアニメーションや、入院児
童がインタビュアーとなり医師や看護師を紹介するモーショングラフィックスなどの作品は、その目的が来院者
が待ち時間を有意義に過ごし、医療関係者に親しみを持ってもらうことであったため、児童や医師の笑顔の画
像とユーモラスなアニメーションを組み合わせ、温かみのあるパステル系の色彩でまとめた。作品が公開される
と、病院の雰囲気が和やかになったという。「発表する場をふまえたデザインを行うことで、作品のメッセージ
が受け手により明確に伝わるようになります」と村上氏。学生にも、「伝えること」に重きを置く制作姿勢の必
要性を説いている。「文化や社会が多様化している現代だからこそ、他者の視点に立った作品が求められている。
作品を介し、制作者と鑑賞者の間にコミュニケーションが生まれる。作品がまた新しいことが生まれるきっかけ
になれば嬉しい。それこそが芸術が果たす役割なのだと考えています」

 

人工衛星の設計から打ち上げ、管制までが低価格で実現する特許技術を解説した動画「超低価格小型人工衛星」

病院の待合室で公開されたモーショングラフィックス。入院児童が医師に、幼少期の夢などをインタビューしている

 

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