筑波大学芸術系 佐伯いく代准教授、生命環境系 平尾章助教、田中健太准教授、および国立大学法人北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 日浦勉教授らの研究グループは、カエデの一種で絶滅が危惧されるクロビイタヤについて、生育地周辺の森林の状況と、遺伝的な変異のパターンとの関係(景観遺伝学)の調査を行いました。
その結果、クロビイタヤは生育地周辺の森林が消失し、連続性が途絶えている場所ほど、他の地域の個体との遺伝的な違いが大きくなる傾向があることがわかりました。これは、森林が消失すると、花粉を媒介する昆虫が少なくなり、個体間での遺伝的な交流(遺伝子流動)が起こりづらくなるためと考えられます。他地域からの遺伝子流動が途絶えると、遺伝的に近縁な個体どうしが交配しやすくなるため、種の存続にマイナスの影響を与えるおそれがあります。
図 森林の分断化の様子(Google Earth)