国立研究開発法人国立環境研究所、国立大学法人京都大学、国立大学法人筑波大学の研究グループは、地球温暖化による暑熱ストレスの増大が屋外の労働者に対して与える影響を軽減するために、労働時間帯を早朝にシフトさせる対策をとることによる効果を検証し、論文として発表しました。
検証の結果、仮に温室効果ガスの排出削減が全く行われずに地球温暖化が進行した場合、21 世紀後半に暑熱ストレスのレベルを現状と同程度に保ち、経済的影響を避けるためには世界全体の平均ではおよそ 6 時間程度、労働開始時間を早める(現在の始業時刻が午前 9 時であれば、午前 3 時以前に始業時刻を前倒しする)ことが必要であることが分かりました。この結果は、地球温暖化に対する対策として労働時間帯の変更だけで対処することは非現実的であり、地球温暖化そのものを防ぐ対策(緩和策)や、労働時間帯シフト以外の様々な対策(適応策)との組合せが不可欠であることを示唆しています。