日本人一般集団における血圧と循環器疾患死亡の関係 ~薬を飲んで血圧が低くなったからといって一概には安心できません~

代表者 : 山岸 良匡  

筑波大学 医学医療系(ヘルスサービス開発研究センター兼任) 山岸良匡准教授らの研究グループは、日本人一般集団27,728人のコホート研究により、血圧が高いほど循環器疾患による死亡リスクが高くなることを確認しました。一方で、降圧薬を服用している場合、129/84 mmHg以下の群では、130-139/85-89 mmHgの群よりも循環器疾患による死亡リスクが高くなりました。
これは、もともとリスクの高い人や合併症などを有する人に対して血圧を下げる処置がなされていたり、合併症が原因で血圧が下がっていることで、そのもともとのリスク要因や合併症を原因とする循環器疾患死亡リスクが高くなる可能性を示しているものと解釈されます。したがって、降圧薬を服用し、血圧が129/84 mmHg以下に下がっている人は、併存するリスク要因や合併症の管理に注意する必要が判明しました。

正常高値群と比較して、循環器疾患の死亡リスクは、至適血圧群で0.85倍(95%信頼区間0.69-1.04)、正常血圧群で0.96倍(同0.81–1.15)、Ⅰ度高血圧群で1.26倍(同1.09–1.46)、Ⅱ-Ⅲ度高血圧群で1.55倍(同1.31–1.84)と、血圧が高くなるにつれてリスクが高くななることが、多変量調整ハザード比を見ることで明らかとなりました。