筑波大学 医学医療系 松本功准教授、住田孝之教授、蔵田泉助教らの研究グループは、関節リウマチ(RA)患者における自己抗体の炎症惹起能を制御する新規T細胞群を発見しました。
本研究グループの関節炎動物モデルリンパ節では、関節炎病初期にインターロイキン(IL)-17を産生する濾胞性T細胞(Tfh17細胞)が多く存在し、その群は表面にOX40分子を高発現していました。濾胞性T細胞は自己抗体産生の増加、及びその炎症惹起性に変化をもたらしますが、糖鎖解析により、IgG(免疫グロブリン)の低シアル化が病態誘導期に進行していることが判明しました。この自己抗体は、免疫複合体を作ることにより、関節炎が治癒している時期の抗体よりもTNFαなどのサイトカインをより多く放出し、病因性が高いと考えられます。生体内でOX40経路を抑制することにより関節炎が減弱し、Tfh17細胞が低下し、B細胞ではシアル化を誘導する酵素(St6gal1)が回復し、自己抗体のシアル化が改善していました。
未治療のRA患者末梢血の解析では、変形性関節症患者と比べて、OX40を発現するTfh17細胞が増加し、Tf17細胞数はACPAと正の相関をする一方、形質芽細胞のSt6gal1とは負の相関を示しました。
これらのことより、OX40を発現するT細胞が自己抗体のシアル化を負に制御し、RAの病態悪化に関わっていることが明らかになりました。