筑波大学 下田臨海実験センターの城倉圭大学院生(生命環境科学研究科博士課程)、柴田大輔元研究員、同生命環境系 柴小菊助教、稲葉一男教授らは、大学共同利用機関法人自然科学研究機構 基礎生物学研究所の重信秀治教授の研究グループと共同で、虹色に輝くクシクラゲの櫛板を形作っている分子を世界で初めて明らかにしました。
クシクラゲは「クラゲ」と名前がついていますが、分類学的にクラゲとは全く別の動物で、多細胞動物の起源である可能性が指摘されています。また、光の加減によって虹色に輝く「櫛板(くしいた)」の美しさは昔から多くの人々を魅了し、最近では多くの水族館でも展示され、人気を集めています。しかしながら、それを形作っている分子については、長い間、不明でした。
本研究グループは、この、クシクラゲを特徴づける「櫛板」のみに存在する分子(タンパク質)を発見しました。このタンパク質は繊毛を束化、巨大化するために必要であるとともに、櫛板が正常に波打つことにより、クシクラゲ自身が移動するためにも重要な役割を果たしていることがわかりました。本研究の成果は、繊毛の機能のみならず、動物の進化を知る上で重要な知見となるとともに、フォトニック結晶の開発など、光学分野への新たな応用の可能性も期待されます。