2019/11/08
筑波大学 生存ダイナミクス研究センター(TARA)の林 純一名誉教授らの研究グループは、ヒトの老化に伴うエネルギー欠乏に、核遺伝子SHMT2が関係していることに注目し、その仕組みをShmt2遺伝子破壊マウスを用いて解明しました。
本研究グループは、Shmt2遺伝子破壊マウスが13.5日胚で貧血を起こし、その後胚致死になることに着目し、以下の2点を明らかにしました。
(1)Shmt2遺伝子破壊により、主に胎児肝臓で細胞分化遅延と細胞分裂遅延が誘発され、胎児肝臓の85%を構成する造血細胞が枯渇し、貧血になること。
(2)この時、胎児肝臓ではグリシンが枯渇し、これがタウリン枯渇とヌクレオチド枯渇を誘発すること、そしてタウリン枯渇はエネルギー欠乏による細胞分化遅延を、ヌクレオチド枯渇は核酸枯渇による細胞分裂遅延を誘発すること。
この結果は、ヒトの老化に伴うエネルギー欠乏のみならず、老化に伴う細胞分裂遅延の回復にも、グリシン摂取が有効である可能性を示唆しています。