健康の保持増進には、従来の疾病生成要因に加えて健康生成要因からのアプローチが不可欠であり、健康生成要因に関する実証検討が近年の公衆衛生の学術的ニーズとなっています。
このような背景から、本リサーチユニットでは各種ライフステージを対象に、健康生成要因の一つでありストレス対処力とされるSense of Coherence(SOC:首尾一貫感覚)の形成と機能について解明し、生涯を通じたSOCの維持向上と健康保持増進を目指します。
本研究では、学校、地域、更生保護施設などにおいて、各ライフステージの健康保持増進および再犯防止に有効なSOCの向上支援策および社会復帰プログラムの開発を目標とした各種実証検討を実施しています。
具体的には、1)小学校高学年児童におけるSOCの形成と機能、2)中年期女性におけるSOCの機能、3)地域高齢者のSOCと運動・スポーツ活動の関係、4) 更生保護施設に入所する元受刑者のSOCと再犯傾向について、実証検討を行っています。
これまでに、1)小学校高学年児童におけるSOCとストレス対処方略、ソーシャルサポートおよびメンタルヘルスとの関連性、2)中年期女性におけるストレッサーの種類によるSOCのストレス緩衝効果の相違、3)地域在住高齢者における運動・スポーツ活動のSOC向上効果、4)更生保護施設入所の元受刑者における再犯傾向とSOCの低さとの関係を明らかにしており、目標達成に向けて着実に成果を積み重ねていきます。