脳梗塞に対する抗酸化ナノメディシン(RNP)の開発

他のメンバー : 長崎 幸夫  丸島 愛樹  松丸 祐司  鶴嶋 英夫  

本邦における脳梗塞の年間発症数は186,000人と推定されています。血栓溶解薬(t-PA)や血栓回収療法(カテーテルによる再開通療法)の登場により脳梗塞急性期治療は進歩してきました。しかし、そのような急性期治療やリハビリテーションを行っても、依然として多くの患者さんが言語障害、麻痺などの後遺症に悩まされています。脳梗塞を含めた脳卒中は死因の第3位でもあります。
脳梗塞に有効な脳保護薬は、これまでいくつかの薬剤が開発されて基礎実験や臨床試験が行われてきました。しかし、世界中で使用できる脳保護薬はありません。そこで本研究では、脳梗塞急性期に使用できる活性酸素消去作用を持つ脳保護薬として、抗酸化ナノメディシン(RNP)の開発と有効性評価、そして実用化へ向けた研究を行っています。これまで動物モデルを用いて、RNPの有効性と安全性、及び作用機序を検証してきました(Marushima, Matsumura, et al. Neurosurgery 2011, Hosoo, Marushima, Matumura, Stroke 2017) 。今後は、RNPの実用化へ向けて、適応疾患と使用方法を検証し、企業との連携、RNPの製造と品質評価、前臨床試験(安全性試験)を行う予定です。