免疫受容体は、免疫反応を担う多種多様な免疫細胞の細胞膜上に発現し、細胞外からの情報を細胞内に伝達し、免疫細胞の活性化を制御する分子群であり、感染症、がん、炎症、アレルギーなどの免疫反応に重要な役割を担っています。そのため、これらの疾患の克服には、免疫反応の起点となる免疫受容体の制御法を開発することが重要となります。本研究は、筑波大学生存ダイナミクス研究センターで世界に先駆けて同定した疾患病態に重要な役割を担う免疫受容体である1) DNAM-1 (CD226), 2) MAIR (CD300), 3) Allergin-1 4) Fca/mR (CD351)を標的とした抗体医薬の開発を行います。
これまで、1) DNAM-1は発がん、急性移植片対宿主病、移植臓器拒絶、2) CD300は敗血症、炎症性腸疾患、アトピー、喘息、3) Allergin-1はアナフィラキシー、アトピー、4) Fcα/μRは敗血症、自己免疫病などの難治性疾患の病態に重要な役割を担っていることを、疾患モデルマウスを用いた研究により明らかにしてきました。また、それらのうち、いくつかの疾患に対しては、それらの特異抗体が病態を軽減することもマウスモデルを用いて示してきました。今後は、これらの標的免疫受容体分子に対するヒト化抗体の作成を行い、臨床応用を目指します