骨髄移植後の副作用である移植片対宿主病において皮膚のランゲルハンス細胞は免疫抑制的に働く

移植片対宿主病は、血液悪性疾患に対する治療として行われる骨髄移植の副作用として、ドナー骨髄細胞がレシピエント臓器組織を攻撃することで起こります。攻撃対象が皮膚粘膜の場合は、びらん化する丘疹・紅斑が生じます。一方、ランゲルハンス細胞は、皮膚免疫を司る表皮常在抗原提示細胞で、炎症性皮膚疾患では増加しますが、移植片対宿主病ではドナー骨髄細胞の標的となって消失します。ランゲルハンス細胞の機能については、接触過敏反応において炎症を惹起する、炎症を抑制する、有意な関与はないといったように、相反する説があり、皮膚免疫学における一つの命題となっています。

本研究では、骨髄移植によって惹起する全身性の移植片対宿主病モデルマウスに加え、皮膚粘膜に移植片対宿主病を発症させたモデルマウスを用いて、皮膚病変におけるランゲルハンス細胞の機能を解析しました。その結果、疾患惹起時にあらかじめランゲルハンス細胞を除去したマウスでは、より重度の皮膚粘膜病変を生じること、さらに、生体外での実験系にて、ランゲルハンス細胞が直接、拒絶反応を引き起こす病原性細胞傷害性CD8 T細胞の増殖を抑制し、そのアポトーシス(細胞死)を誘導することから、ランゲルハンス細胞は、皮膚のいわばゲートキーパーとして、移植片対宿主病の進展を抑制する方向に働いていることが分かりました。

これらのことは、ランゲルハンス細胞の機能が免疫抑制性であることを示唆しており、皮膚免疫学の一つの大きな前進となると考えられます。