東京大学大学院理学系研究科の大越慎一教授、大阪大学レーザー科学研究所の中嶋誠准教授、富士フイルム株式会社記録メディア研究所の白田雅史研究マネージャー、堂下廣昭所長らの共
同研究グループは、筑波大学数理物質系の所裕子教授、東京大学の宮下精二名誉教授、株式会社日立ハイテクの山岡武博氏らと協力して、ミリ波・テラヘルツ波を用いた新しい磁気記録方式「ミリ波磁気記録」の開発に成功しました。
ビッグデータとIoTの時代に突入し、データアーカイブはその鍵の一つとなる基盤技術です。磁気テープ(注1)は、長期記録保存の信頼性を有し、省電力・低コストであるため、クラウドや業務用データアーカイブとして活発に利用されており、その需要が伸びています。増大を続ける膨大な量のデータを保存するためには、更なる記録密度の向上が必須です。そこで、大越教授らは、ミリ波磁気記録の確立を目指し「集光型ミリ波アシスト磁気記録(FocusedMillimeter wave–assisted Magnetic Recording, F-MIMR)」という新手法を提案しました。本研究では、そのデモンストレーションのため、将来的な磁気テープ用磁性粉かつBeyond 5G(注2)用ミリ波吸収材として注目されているイプシロン酸化鉄(注3)の磁性フィルムを作製すると共に、テラヘルツ(THz)光源を利用した集光型ミリ波発生装置を開発しました。集光型ミリ波をイプシロン酸化鉄磁性フィルムに照射したところ、磁極方向が反転し、書込みを確認することができました。このF-MIMRは、Beyond 5Gの光・電磁波と磁気記録を組み合わせた、Beyond5G時代の画期的な磁気記録方式であり、磁気記録密度を著しく高めることが可能となります。
本研究成果は、日本時間2020年10月8日(木曜日)にAdvanced Materials誌(アドバンスト・
マテリアルズ)のオンライン版で公開される予定です。