次世代の電子素子やエネルギー変換素子などの実現に向け、原子数個分の厚みを持つ薄膜や細線などのナノ材料に大きな注目が集まっています。東京都立大学理学研究科物理学専攻のLim Hong En 特任助教、中西勇介助教、遠藤尚彦(研究員)、安藤千里(大学院生)、清水宏(大学院生)、柳和弘教授、宮田耕充准教授、産業技術総合研究所・極限機能材料研究部門の劉崢上級主任研究員、名古屋大学工学研究科応用物理学専攻の蒲江助教、竹延大志教授、筑波大学・数理物質系の丸山実那助教、岡田晋教授らの研究チームは、3原子程度の究極的に細い構造を持つ遷移金属モノカルコゲナイド(注1)(TMC、図1)の新たな合成技術を開発し、その大面積薄膜の合成と原子細線の束状構造などの形成、そしてそれらの光学応答・電気伝導特性の解明に初めて成功しました。このような微細な細線の束や薄膜を使うことで、一次元に閉じ込められた電子の特殊な性質の解明や制御、微細な配線や透明で柔軟な電極、非常に小さな電力で動く電子デバイスやセンサー、高効率なエネルギー変換素子などへの応用が期待されます。
本研究成果は、12月14日(米国東部時間)付けでアメリカ化学会が発行する英文誌Nano Letters にて発表されました。