森林浴習慣は労働者のストレス対処力を高める可能性がある

代表者 : 笹原 信一朗  

わが国では働く人のメンタルヘルス不調が大きな問題となっています。メンタルヘルス不調は発生を予防することが重要と考えられており、ストレスにうまく対処できる力(ストレス対処力)がどのような生活習慣と関連するかについて、多くの研究がなされています。その中で、森林浴など自然との触れ合いがメンタルヘルスに良い影響を与える可能性が注目されています。これまでの研究から、一回(数時間)の森林浴をした場合、リフレッシュ効果などがあることが数多く報告されています。しかしながら、勤労者が森林浴を習慣として行った場合のストレス対処力との関連については明らかになっていませんでした。

本研究チームは、筑波研究学園都市内の研究者など労働者を対象とした研究を行い、森林散策や緑地散歩の頻度が⾼いほど、ストレス対処⼒が統計的に有意に⾼いことを明らかにしました。この結果は、年齢、最終学歴、世帯年収といった個人特性や、運動や喫煙といった他の生活習慣の影響を考慮しても有意となりました。

わが国は国土面積の約3分の2が森林で占められており、都市公園や公共施設緑地等の整備も進められています。今後の研究では、森林浴習慣によるストレス対処力への長期的な効果を明らかにしていくことが重要と考えられます。