細胞外環境から生命現象を捉える | 柳沢 裕美 | 筑波大学研究者カタログ

代表者 : 柳沢 裕美    中核研究者 : 山城 義人  木村 健一  

柳沢裕美 Yanagisawa Hiromi

研究テーマ

●細胞外環境から生命現象を捉える

●血管の性状を維持する細胞外マトリクス分子たち

●物理刺激が生化学シグナルへと変換・伝達されるしくみ

Keyword: 細胞外マトリクス、メカニカルストレス、血管細胞と組織幹細胞

  • 生存ダイナミクス研究センター
    Life Science Center for Survival Dynamics, Tsukuba Advanced Research Alliance (TARA)
  • E-mail :
  • Lab web page : http://saggymouse.tara.tsukuba.ac.jp
  • Kakenhi : 40746301
  • Orcid : https://orcid.org/0000-0002-7576-9186
  • Collaborators:山城義人(助教)、木村健一(助教)

研究ハイライト Highlight

細胞外環境の構成要素には、コラーゲンやエラスチンなどの細胞外マトリクスとよばれる高分子複合体、成長因子、マトリクス分解酵素、マトリクス分解産物、低酸素や機械応力などの物理的因子などがあります。それらの因子が細胞と適切な相互作用を保つことで、組織は正常に発生し維持されます。私たちは、細胞外環境がどのように血管細胞や幹細胞の維持に働いているか、相互作用の破綻がどのように老化や疾患をもたらすかを研究しています。

一例として、私たちはフィブリン4という細胞外マトリクスを欠損させて、大動脈瘤のマウスモデルを作成しました。大動脈瘤の発症には、機械応力の感知・伝達の異常が関与していること、それによって細胞内のさまざまなシグナル経路が活性化されることわかってきました。このマウスを用いて、大動脈瘤発症の分子機序を探り、新規治療法の標的分子を探索しています。

研究の応用・展望

●大動脈瘤治療法の開発、大動脈瘤破裂の早期予測技術の創出、人工血管に使用するバイオマテリアルの研究
●メカニカルストレス応答異常による血管病発症機序の解析
●間葉系幹細胞の発生と病態における役割の解明
●マトリクスに着目した、慢性腎臓病の予防法の開発

 

文献・知財・作品

●Shin et al.: Role of PAR1-Egr1 in the inhibition of thoracic aortic aneurysm in Fbln4-deficient mice. Arterioscler Thromb
Vasc Biol. 40(8):1905-1917 (2020).
●H. Yanagisawa and J. Wagenseil: Elastic fibers and biomechanics of the aorta: Insights from mouse studies. Matrix Biol.
85-86:160-172 (2020). Invited Review.
●Y. Yamashiro et al.: Role of thrombospondin-1 in mechanotransduction and development of thoracic aortic aneurysm in
mouse and humans. Circ Res.123(6):660-672 (2018).
●Y. Yamashiro et al.: Abnormal mechanosensing and cofilin activation promote the progression of ascending aortic
aneurysms in mice. Sci Sig. 8(399):ra105 (2015).

2021年1月更新
出典「医学のあゆみ」2019年5月号