代表者 : 西堀 英治
理化学研究所(理研)放射光科学研究センタービームライン開発グループビームライン開発チームの井上伊知郎研究員、矢橋牧名グループディレクター、筑波大学数理物質系/エネルギー物質科学研究センターの西堀英治教授、高輝度光科学研究センターの犬伏雄一主幹研究員らの国際共同研究グループ※は、X 線自由電子レーザー(XFEL)[1]施設SACLA[2]」を用いて、高強度X 線を物質に照射した際に起こる融解過程をフェムト秒(1000 兆分の1 秒)オーダーの高い時間分解能で可視化することに成功しました。本研究成果は、非線形光学現象[3]の観測やタンパク質微結晶の構造解析など、高強度XFEL を利用する研究のデザインやデータ解析などに貢献すると期待できます。今回、国際共同研究グループは、SACLA から時間差を制御した二つのXFEL ビームを出射して、ダイヤモンドに高強度X 線を照射した際に起こる固体から液体への融解過程を測定しました。その結果、この過程が熱エネルギーの増加によって引き起こされる通常の融解ではなく、原子間ポテンシャル[4]の変化によって生じる特殊な融解(非熱的な融解)であることを明らかにしました。
本研究は、科学雑誌『Physical Review Letters』オンライン版(3 月19 日付、日本時間3 月20 日)に掲載されます。