建築遺産の継承にかかるデザイン | 下田一太 | 筑波大学研究者カタログ

代表者 : 下田 一太  

Keyword

建築遺産学、文化財行政、文化遺産のクラスター化、東南アジアの都市・建築

研究テーマ

  • 建築遺産の継承にかかるデザイン

研究ハイライト

世界遺産をはじめとする多様な文化遺産を訪れることで、私たちは歴史と繋がり、世界各地の人々と共生している現実を実感することでしょう。文化遺産の対象は実に豊かで、人類にとって特筆すべき価値を有する世界遺産から、私たちの日常に潜んでいる身近な生活文化に至るまで多様です。それらの文化遺産は相互に関係性を有し、大きな歴史・社会・文化的な背景のもとに存在しています。

これまでは個々に理解され、語られてきた文化遺産ですが、最近では多様な文化遺産を関連付け、より魅力的なストーリーのもとに紹介し、保存し、活用する取り組みが積極的に推進されています。こうした様々な遺産をひとまとめにすることを〈遺産のクラスター化〉ととらえ、クラスター化の可能性を探求したいと考えています。
遺産のクラスター化において、歴史的な建築はストーリーの拠点となる存在です。人々が集うことのできる歴史的建築をどのように活かしていくのか、これは遺産のクラスター化を成功させるための重要なカギになります。

最近では、文化遺産の「保存」と「活用」についてそれぞれに検討が進められていますが、本来、これらは二項対立するものではないはずです。保存と活用の間には多様なアクションがあります。建築遺産であれば、現状維持・保存・補強・修復・改築・改修・復元・転用といった様々なアクションがあるのです。そうした行為は、建築遺産を今に活かし、未来に伝えていくために、遺産を消費することなく、持続的に価値を維持していくためのデザインといえるでしょう。

デザインの対象は、モノとしての建築ばかりではありません。建築を通じた歴史や文化の伝え方、地域の人々が集い、来訪者と交流し新たな関係を構築するための仕組みなども含まれます。こうした建築遺産の継承にかかるハード・ソフトのデザイン手法に関する研究に取り組んでいます。

研究の応用・展望

  • 文化遺産のクラスター化にかかる政策の効果と課題に関する研究
  • 建築遺産の真実性保持と活用・復元の双方を満たす手法の研究
  • 地域住民の参画と来訪者との交流の場としての建築遺産の活用手法の研究

文献・知財・作品

  • 世界文化遺産に登録された遺産の保存・管理・活用:日本における世界文化遺産のガバナンスの現場より(その1)、世界遺産学研究
  • 世界文化遺産へ申請する資産形成と推薦書作成:日本における世界文化遺産のガバナンスの現場より(その2)、世界遺産学研究
  • ユネスコ世界遺産の申請書作成:百舌鳥・古市古墳群など
  • 歴史的建造物の修復事業:アンコール・ワット、バイヨン寺院、サンボー・プレイ・クック遺跡群(カンボジア)

https://www.shimoda-lab.org/

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芸術系

Heritage Studies, Graduate School of Comprehensive Human Sciences