債務契約および報酬契約における会計情報の利用可能性 | 中村 亮介 | 筑波大学研究者カタログ

代表者 : 中村 亮介  

Keyword

財務制限条項、業績連動報酬、債務契約、報酬契約

研究テーマ

  • 債務契約および報酬契約における会計情報の利用可能性

研究ハイライト

債務契約においては,約束事・誓約のうち,特に借り手企業の財務諸表ないし会計情報に依拠した「財務制限条項」が設定されることがあります。借り手企業はこの約束事を遵守する必要があり,これに違反した場合には資金の即時一括返済が命じられることとなっています。ただし,日本においてはほとんどのケースにおいて,返済が猶予あるいは意図的に回避されています。

本研究室では,なぜそのような財務制限条項が設定されているのか,また設定するならばどのような会計数値を用いるべきかを研究しています。これまでの判明事項として,日本における財務制限条項は,その内容に画一性が認められ,抵触時に明示的な罰が科せられることが少ない一方で,借り手企業の状況に応じて債務契約に財務制限条項を付けるか否かが決定されており,その結果,条項抵触および条項情報の開示内容が各ステークホルダーの行動に広く影響を及ぼしている,ということです。このことは,日本における財務制限条項が各ステークホルダー間の利害対立の調整もしくは債権者へのコントロール権の移転という本来の役割を果たしている可能性を示唆しています。

さらに,報酬契約における会計数値の役割についても研究を進めています。日本においては,2015年に「コーポレートガバナンス・コード」が施行されたことにより,業績連動報酬の導入・拡張に注目が集まりました。しかし,その報酬契約の中で,実際にどのように会計数値が利用されているのかについてわかっていないことが多いと言われています。そこで,業績連動報酬の利用状況を調査し,どのような会計数値を用いることで各ステークホルダーの利害対立をよりよく調整できるかを研究しています。

研究の応用・展望

債務契約と報酬契約は,①定量情報と定性情報がミックスされている,②日本において体系的なデータベースが存在しないという共通点があります。そこで,独自のデータベースを構築し検証することで,未知の領域の発掘や新発見が期待できます。また,これらの契約でどのように会計数値を利用すれば契約の効率性が高まるのかを明らかにすることを研究のゴールとしています。

文献・知財・作品

  • 中村亮介・河内山拓磨(2018)『財務制限条項の実態・影響・役割-債務契約における会計情報の活用-』中央経済社。
  • Kochiyama, T. and R. Nakamura. 2021. Debt Covenants in Japanese Loan Markets: In Comparison with the Traditional Relationship Banking. Accounting and Finance, 61(1), pp.305-334.
  • 中村亮介(2020)「業績連動報酬契約における会計情報の利用実態」一橋大学大学院経営管理研究科マネジメント・イノベーション研究センター ワーキング・ペーパーNo. 236。
  • 塚原慎・小澤康裕・中村亮介(2020)「新収益認識基準が企業に与える影響―上場企業へのアンケート調査の結果に基づいて」『企業会計』第72巻第4号,134-139頁。
  • 中村亮介(2016)「ポイントプログラムの簿記処理と新たな収益認識基準」『日本簿記学会年報』第31号,79-87頁。

 

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ビジネスサイエンス系

Faculty of Business Sciences

Collaborators: