コロナ下の時間外救急往診サービスを分析~発熱・感冒症状の割合は減ったが、重症度は上がっていた~

代表者 : 田宮 菜奈子    
他のメンバー : 井口 竜太  

近年、救急外来の混雑を解消するため、多くの国で医師を直接自宅に派遣する夜間・休日の時間外救急往診サービスの運用が始まっています。日本でもファストドクター株式会社が2016年、時間外救急往診サービスの提供を始めました。その社会的な効果をデータに紐づいた事象により評価するため、筑波大学はファストドクター株式会社との共同研究を2019年から行っています。

新型コロナウイルスのパンデミックでは、時間外救急往診サービスを利用する患者の特徴や重症度の傾向が変化したと考えられましたが、その報告は今までありませんでした。そこで本研究では、パンデミック前(2018年12月1日~2019年4月30日)とパンデミック期間(2019年12月1日~2020年4月30日)とに分け、東京でファストドクターの時間外救急往診サービスを利用した全ての患者(それぞれ6462人と10003人)を対象に、その特徴や重症度の変化を分析しました。

その結果、発熱・感冒症状でサービスを利用した患者の割合は、パンデミック前の82.6%からパンデミック中は74.2%に減っていました。軽症、中等症、重症の患者の割合は、パンデミック前がそれぞれ71.1%、28.7%、0.2%だったのに対し、パンデミック中は42.3%、56.7%、0.9%と、中等症と重症の割合が増えていました。また、65歳以上で重症化している割合が多いことも分かりました。

パンデミックの当初、発熱の持続や強い倦怠感などがある場合、いきなり受診をせず、まずは保健所に相談することが推奨されていました。本研究により、発熱や感冒の症状がある患者が受診を控えたことで重症化し、時間外救急往診サービスを利用した可能性が示唆されました。

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プレスリリース

研究代表者
筑波大学医学医療系 ヘルスサービスリサーチ分野/ヘルスサービス開発研究センター
田宮 菜奈子 教授
井口 竜太 准教授

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