人工知能は精神科医よりも高精度でメンタルヘルスの状態を判定できる

代表者 : 道喜 将太郎  

労働者のうつ病は経済的な損失も大きく、有効な対策が求められています。早期治療のためには、うつ病の前段階である精神的苦痛の状態を、簡便に早期発見する手法が必要です。本研究では、労働者の精神的苦痛の判定において、人工知能(AI)を用いたモデルと精神科医との判定精度を比較し、AIモデルは、神科医とほぼ同等か、より高い精度で判定できることを明らかにしました。

7,251人の労働者のデータを用い、ニューラルネットワークの手法によりAIモデルを作成し、その精度を検証しました。同時に、6名の精神科医が、同じデータに対して、それぞれ精神的苦痛の状態にあるか否かの判定を行いました。その結果、中等度の精神的苦痛に関しては、AIモデルと精神科医の判定精度は同等でしたが、重度の精神的苦痛の判定は、AIモデルの方が精神科医よりも高い精度を示しました。

精神的な状態に関する調査では、不調だと思われたくないために正直な回答が得られないことがあります。そのため本研究では、年齢、性別、就業状況、生活環境、睡眠状況等の客観的なデータのみを用いており、気分などの主観的な報告がなくても、労働者の心理的苦痛を予測することが可能です。

AIモデルの精度をより高め、スマートフォンのアプリなどの形で多くの労働者に提供できれば、メンタルヘルス改善の一助となると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者
筑波大学医学医療系
道喜 将太郎 助教

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