悪玉(LDL)コレステロール高値は認知症のリスク~日英の医師らが英医療ビッグデータ解析で明らかに~

代表者 : 岩上 将夫  

2021.07.27

 高齢化が進む日本や英国などの先進国では、認知症が社会・医療に与える負担が増加しています。治療法の開発は難航しており、新規治療薬が登場したとしても、高額な医療費が社会問題となり得ます。

 一方、認知症の予防に関する研究は徐々に蓄積され、世界主要医学誌「ランセット」の認知症委員会は、予防可能な12の認知症リスク因子(低教育、高血圧、難聴、喫煙、肥満、うつ、運動不足、糖尿病、社会的接触の少なさ、飲酒、脳外傷、大気汚染)を認めています。しかし、血中脂質(特に悪玉コレステロールとして知られるLDLコレステロール)が認知症のリスクになる可能性は、大規模な人間集団では証明されていませんでした。

 日英の医師・研究者による本研究では、約180万人を最大23年間追跡した英国の医療ビッグデータを解析し、LDLコレステロール高値が認知症のリスクを上昇させる可能性を示しました。特に中年期(40-64歳)のLDLコレステロール高値が長期間(10年以上)経った時に、認知症(特にアルツハイマー病)の発症に比較的大きく影響を及ぼすことを明らかにしました。

 本研究成果は、比較的若い時期からLDLコレステロール高値に介入することで将来の認知症リスクを下げられる可能性を示唆するもので、本研究チームは、ランセットの認知症委員会の認知症リスク因子のリストにLDLコレステロールを加えるべきであると結論付けています。

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プレスリリース

研究代表者
筑波大学医学医療系
岩上 将夫 助教