代表者 : 日下 博幸
日本のオフィスワーカーや学生は、夏場、空調の効いた室内と暑さの厳しい屋外との間を行き来することが多く、厳しい暑さの屋外から室内に戻った後、仕事や学習のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。そこで本研究では、暑い屋外を短い時間歩くことが、直後のパフォーマンスにどのような影響を及ぼすのか明らかにするために、大規模な被験者実験を実施しました。実験に参加した96名の被験者は、屋外で歩く前後に、空調の効いた室内で簡単な足し算のテストを受けました。実験の結果、熱中症厳重警戒日に屋外を15分間歩くと、その直後のテスト正答率が、歩く前に比べて3.6%低下していました。この傾向は、女性よりも男性でより強く見られました。
また、睡眠時間にも着目したところ、睡眠時間が短くなると、屋外を歩いた後のテスト正答率がより低下しやすいことが示されました。この傾向は、睡眠時間が5時間未満の被験者で特に顕著で、とりわけ男性被験者については、歩いた後のテスト正答率が9.1%低下しました。つまり、睡眠不足の男性が夏の暑い日に屋外を歩いた場合、その後の仕事や学習のパフォーマンスを大きく低下させる可能性があります。本研究結果は、日本におけるオフィスワーカーの生産性や学生の学習効率を向上させるために役立つと期待されます。
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プレスリリース
研究代表者
筑波大学計算科学研究センター
日下 博幸 教授