巧みな生存戦略を持つ寄生蜂の全ゲノム配列解読に成功

代表者 : 島田 裕子    中核研究者 : 丹羽 隆介  

寄生蜂とは、宿主(主に他種昆虫)の栄養やエネルギーを利用して生活するハチ目昆虫の総称です。その種数は、昆虫類約100万種の中の約20%をも占めると推定されており、地球上で最も成功した戦略を持つ動物群の一つといっても過言ではありません。寄生蜂の巧みな生存戦略を解明することは、生物の進化を理解する上でも重要です。

本研究グループは、キイロショウジョウバエ Drosophila melanogasterを宿主とする寄生蜂ニホンアソバラコマユバチAsobara japonicaを用いて、寄生蜂の生存戦略を支えている分子生物学的基盤を明らかにすることを目指しており、今回、その全ゲノム配列の決定と全遺伝子予測、さらに、遺伝子ノックダウン法の開発に成功しました。

ニホンアソバラコマユバチは、キイロショウジョウバエのみならず、多くのショウジョウバエ属昆虫を宿主とすることが知られています。その中には、現在ヨーロッパを中心に果物の害虫として深刻な問題となっているオウトウショウジョウバエDrosophila suzukiiも含まれます。本研究成果は、ショウジョウバエの害虫種に対する農薬の開発シーズの創出にもつながると考えられます。

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プレスリリース

研究代表者
筑波大学 生存ダイナミクス研究センター
島田 裕子 助教
丹羽 隆介 教授