代表者 : 市川 政雄
事業用自動車(バス、タクシー、トラック)の運転者による飲酒運転を防ぐため、運送事業者は、乗務開始時と終了時に、アルコール検知器を用いて運転者の酒気帯び確認を行っています。アルコール検知器の使用は2011年5月に義務化され、2022年10月には、乗車定員11人以上の自家用自動車あるいはその他の自家用自動車5台以上を使用する事業所の事業者にも義務付けられます。果たして、アルコール検知器の使用で飲酒運転は減ったのでしょうか。
本研究では、1995年から2020年までに全国で発生したトラック運転者による交通事故のデータをもとに、飲酒運転事故の割合の推移を事業用トラックと自家用トラックのそれぞれについて分析しました。アルコール検知器による運転者の酒気帯び確認に飲酒運転を防ぐ効果があれば、それが義務化された2011年以降、その対象の事業用トラック運転者における飲酒運転事故の割合は低下すると考えられます。しかしながら、今回の分析からはそのような傾向は見られず、飲酒運転事故の割合は、分析したすべての期間を通して、事業用トラック、自家用トラックの運転者とも、同じように推移していました。
本研究により、2011年に義務付けられた酒気帯び確認は、飲酒運転を防ぐには十分ではないことが示唆されました。従って、酒気帯び確認の方法を改めるか、別の対策を講じる必要があります。
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プレスリリース
研究代表者
筑波大学医学医療系
市川 政雄 教授