無回転キックは意外と簡単?〜サッカーのキック技術のコツを科学的に解明〜

代表者 : 中山 雅雄  

サッカーにおけるインステップキック(ストレートキック)やカーブキック、無回転キック(ナックルキック)等は、フリーキック等で頻繁に用いられ、極めて重要な技術です。これまで、これらのキック技術は、それぞれ独立した異なる技術として説明、指導されてきましたが、選手の体験談や事例研究を適用したものが多く、それぞれのキック技術のキーファクター(コツ)を把握することが困難で、膨大な時間や試行錯誤を費やしても、未習得に留まる場合が少なくありませんでした。

そこで本研究グループは、光学式3次元モーションキャプチャシステムとバーチャルモデリング技術を連携させ、インステップキック、カーブキック、無回転キックを統合して、バイオメカニクス的、コーチング学的に分析し、各キック技術の類似点や相違点から、技術のキーファクターを検討しました。その結果、水平面における足部のインパクト面方向と、そのスイング方向がなす迎え角(含む偏角)が大きなキックほど、ボールの横回転が増大する傾向が見られ、迎え角の大きさによってカーブキック(斜めインパクト)と無回転キック(フラットインパクト)が、連続的に蹴り分けられていることが示唆されました。

本研究成果により、これまで個別の技術として扱われていたさまざまなキックを統一的に把握することが可能になるだけでなく、カーブキックの延長線上として無回転キックのキーファクターを捉えることにより、多様なキック技術の習得が容易になると期待されます。

PDF資料
プレスリリース

研究代表者
筑波大学 体育系
中山 雅雄 教授