施設入所中のアルツハイマー型認知症患者では在宅の患者に比べて睡眠障害が多い

代表者 : 新井 哲明  

認知症の患者には、行動・心理症状(Behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD)と呼ばれるさまざまな精神症状や行動症状があります。BPSDの症状は多彩で、現実にないことを訴えたり、気分が落ち込んでしまったり、怒ってしまったり、夜の睡眠に支障を来したりとさまざまです。しかしながら、こうしたBPSDが、生活している場所によってどのように異なるかに関する知見は不足していました。

本研究では、茨城県内の介護施設に質問票を送付し、普段から認知症患者のケアや介護に携わっている医療従事者を対象としたアンケート調査を実施しました。アルツハイマー型認知症の患者130人について、性別や年代、診断、介護度、BPSDの種類等を調査し、解析を行ったところ、自宅で生活している患者(33.3%)に比べて、施設で生活している患者(60.3%)の方に、睡眠障害が頻繁に見られました。このような、居住形態と睡眠障害の関連性は、年齢や性別といった居住形態以外の要因を考慮した解析でも明らかでした。

今後、居住形態とBPSDの関連性の背景にあるメカニズムについて理解を深めることで、BPSDへの有効な対処法の確立につながると期待されます。

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プレスリリース

研究代表者
筑波大学医学医療系
新井 哲明 教授