新型コロナウイルス恐怖尺度において 日常生活への支障を判断する基準値を提案

代表者 : 太刀川 弘和  

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大下におけるメンタルヘルスの悪化は大きな問題となっており、その要因の一つに、COVID-19への恐怖があると考えられています。COVID-19への恐怖を測るための尺度にはさまざまなものがありますが、代表的なものに、新型コロナウイルス恐怖尺度(Fear of COVID-19 Scale: FCV-19S)があり、世界的に幅広く用いられています。しかしながら、この尺度が何点以上であれば問題があると言えるのか(カットオフ値)に関する知見は不足していました。

本研究では、日本におけるCOVID-19問題による社会・健康格差評価研究(JACSIS study)において収集された、2.5万人規模の大規模全国アンケート調査のデータを用いて、FCV-19Sのカットオフ値を提案しました。アンケートでは、性別や年代といった情報に加えて、COVID-19への恐怖により日常生活に支障を来しているかを尋ね、心理尺度としてFCV-19Sやケスラーの心理的苦痛尺度(K6)を測定しました。得られた情報を解析した結果、COVID-19への恐怖により日常生活に支障を来している者を識別する際には、FCV-19Sの合計点21点以上(最大35点中)をカットオフ値とすることが妥当であると考えられました。

カットオフ値を用いてCOVID-19への恐怖に関する理解を深めることは、コロナ禍におけるメンタルヘルス問題への対策において重要であると考えられます。

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プレスリリース

研究代表者
筑波大学医学医療系
太刀川 弘和 教授