代表者 : 後藤 博正
ポリアセチレンに代表される導電性高分子は、電気を流すプラスチックとして研究が行われてきました。現在、導電性に加えて、発光や光の回転・吸収といった性質を付与した、無機材料に代わる新しい光学材料としての開発も進められています。その一つにポリアニリンがあります。ポリアニリンは染料化学の材料として広く利用されているアニリンを原料としており、簡便に大量の合成が可能ですが、通常、ポリアニリンの合成には硫酸が必要であるという課題がありました。硫酸はアニリン重合を活性化するとともに、ドーピング剤としてキャリアを発生する役割があります。
本研究では、硫酸の代わりに、天然の酸性温泉水を、合成溶媒(プロトン酸の供給源)および電気伝導を担うキャリアを発生するためのドーピング剤として用いて、導電性プラスチックポリアニリンの合成に成功しました。火山国である日本は温泉に恵まれ、温泉水は主に保養のために使われていますが、本研究により、その温泉廃水も工業的に利用できることが分かりました。
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プレスリリース
研究代表者
筑波大学数理物質系
後藤 博正 准教授
駒場 京花(大学院理工情報生命学術院 博士後期課程2年)
掲載論文
【題名】 Synthesis of polyaniline and polyaniline/fiber composites in geothermal water
(温泉水中でのポリアニリンおよびポリアニリン/繊維コンポジットの合成) 【掲載誌】 Journal of Water Chemistry and Technology 【DOI】 10.3103/S1063455X23010046