代表者 : 辻村 清也
電気化学式バイオセンサーは、酵素や抗体などの生体分子を、測定したい物質を認識する素子として使い、何がどれくらい含まれているかという情報を電気シグナルとして与えてくれます。
例えば血糖値(血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度)を知りたい場合、グルコースを選択的に認識する酵素を素子とする電気化学センサーを用いることで、その値を知ることができます。ただし、電気化学センサーを駆動させるためには、専用の電極を用意し、その電極で起きる反応を制御する装置が必要でした。
本研究では、チップ化したバイオ燃料電池をセンサーとすることで、外部装置を利用することなく、酵素とグルコースの反応が起きるようにしました。チップに測りたい血液を数マイクロリットル(マイクロは100万分の1)滴下するだけで反応が進行します。この時、バイオ燃料電池の二つの電極間を流れる電流を計測することで、血糖値が分かります。測定結果はスマートフォンのような汎用機器での読み取りが可能です。
この原理を応用し、測りたいものにあわせてバイオ認識素子を変えることで、さまざまなバイオマーカーを検出できるディスポーザブルな(使い捨て式の)センサーが開発されると期待されます。
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プレスリリース
研究代表者
筑波大学数理物質系
辻村 清也 准教授
掲載論文
【題名】 A disposable enzymatic biofuel cell for glucose sensing via short-circuit current.
(使い捨て可能な酵素燃料電池をベースにしたグルコースセンサ) 【掲載誌】 Biosensors and Bioelectronics 【DOI】 10.1016/j.bios.2023.115272