エムポックスに対する天然痘ワクチンの受容率を国内で初めて報告

代表者 : 堀 大介  

エムポックス(旧称:サル痘)は、ウイルス感染によって引き起こされる病気です。男性間で性交渉を行う人々の間で、より多くの症例が報告されています。2022年以降、欧米を中心に感染が拡大し、世界保健機関は公衆衛生上の緊急事態を宣言しました。日本国内でも症例が報告されており、感染拡大の推移が注目されています。エムポックスは天然痘と似た病気で、その予防には天然痘ワクチンの使用が認可されています。このような性別や性的指向が影響すると考えられる感染症に対し、どれくらい多くの人がワクチンを受けたいと思っているのでしょうか。

本研究では、2万人以上のアンケートデータを解析しました。その結果、ワクチンを受けたいと回答した人は、男性では約23%、女性では約13%でした。また、性的指向も考慮して分析したところ、同性の相手に性的に惹かれると回答したグループでは、異性の相手に惹かれると回答したグループよりも、ワクチンを受けたい人の割合が高かったことも分かりました。

天然痘ワクチンは、現在、一般的には用いられていません。そのため、ワクチンの効果について信頼できる情報を発信していくことが重要です。また、ワクチン接種に際して、性的マイノリティに対する差別が助長されることがないように配慮する必要があります。

PDF資料
プレスリリース

研究代表者
筑波大学医学医療系
堀 大介 助教

掲載論文
【題名】 Sexual orientation was associated with intention to be vaccinated with a smallpox vaccine against mpox: A cross-sectional preliminary survey in Japan.
(性的指向はエムポックスに対する天然痘ワクチンの受容と関連していた:日本における予備的横断調査) 【掲載誌】 Vaccine 【DOI】 10.1016/j.vaccine.2023.05.050