セルフメディケーションとは、市販薬(OTC医薬品)などで自らの健康問題に対応することを指します。軽い症状での不要な医療機関の受診を抑制し、医療費の削減にもつながるため、政策的にも推進されている一方で、OTC医薬品の誤った使用や乱用などによる有害事象や、処方薬との相性といったリスクも指摘されています。医薬品の適切な使用に寄与する能力として、ヘルスリテラシー(健康に関する知識を測定する指標)がありますが、これまで、ヘルスリテラシーとOTC医薬品の添付文書理解度との関連についての調査は限られていました。
そこで、薬局でOTC医薬品を購入した成人にアンケート調査を行い、添付文書理解度の実態、およびOTC医薬品による副作用出現時の対処行動の評価を評価し、ヘルスリテラシーとの関連を分析しました。その結果、OTC医薬品購入者のヘルスリテラシーが高いことは、添付文書の理解度の高さ、副作用出現時の適切な対処行動、のいずれとも関連することが分かりました。
本研究により、OTC医薬品を購入する成人において、ヘルスリテラシーが高い人ほど、添付文書理解度が高く、また、副作用発生時の医療者への相談行動を起こしやすいことが示されました。このことは、セルフメディケーションを適正に行うためには、市民への啓発を行い、ヘルスリテラシーを高めることに加え、店舗での薬局薬剤師・登録販売者による適切な情報提供の重要性を示唆しています。
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プレスリリース
研究代表者
筑波大学医学医療系
舛本 祥一 講師
掲載論文
【題名】 Association between health literacy and medication comprehension; attitudes toward reporting adverse events in adults using over-the-counter medicines
(セルフメディケーションを行う成人のヘルスリテラシーと、添付文書理解度ならびに副作用対処行動の関連調査) 【掲載誌】 Journal of Pharmaceutical Policy and Practice 【DOI】 10.1186/s40545-023-00596-3