CT画像から腫瘍の術前リンパ節転移を予測するAI技術を開発

代表者 : 顧 文超  

非機能性膵神経内分泌腫瘍の術前リンパ節転移を非侵襲的に判断する新しい方法として、ラジオミクス(放射線画像に基づくデータ解析)と深層学習を組み合わせ、術前のリンパ節転移を予測する画像学的モデルを開発しました。これにより、より精度の高い診断および治療戦略の選択が可能になります。
非機能性膵神経内分泌腫瘍は、発見が難しく、主に手術で治療される稀なタイプの腫瘍です。そのため、リンパ節転移の有無は、手術方法や他の治療方法の選択に重要な影響を及ぼします。特に、2cm以下の腫瘍に対する手術の必要性は、現在の臨床ガイドラインでも議論の対象になっており、術前のリンパ節転移診断のための効果的な方法は存在しません。

そこで本研究では、画像から抽出されたラジオミクス(CTやMRIなどの放射線画像に基づくデータ解析)特徴と人工知能(AI)の深層学習技術を組み合わせて、リンパ節転移を予測するモデルを開発しました。このモデルは、リンパ節転移の予測において89%の成功率を達成し、外部病院のデータによる検証でも91%の結果が得られました。また、腫瘍のサイズが2cmを超えるかどうかに関わらず、このモデルの予測能力は一貫していました。

以上のことから本モデルは、リンパ節転移の事前予測に役立ち、外科医がより精度の高い手術方法や治療戦略を選択するための重要なツールとなると考えられます。

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プレスリリース

研究代表者
筑波大学医学医療系
顧 文超(GU WENCHAO)研究員(非常勤)

掲載論文
【題名】 Development and validation of CT-based radiomics deep learning signatures to predict lymph node metastasis in non-functional pancreatic neuroendocrine tumors: a multicohort study.
(非機能性膵神経内分泌腫瘍におけるリンパ節転移の予測のためのCTベースのラジオミクス深層学習シグネチャの開発と検証:多コホート研究) 【掲載誌】 eClinicalMedicine 【DOI】 10.1016/j.eclinm.2023.102269