コロナウイルス感染症流行中、日本の全ての死亡に占める在宅死の割合が増えていたことが明らかになりました。また、人口密度が高い地域、コロナウイルス感染者が多い地域および機能強化型在宅療養支援診療所・病院が多い地域が在宅死割合の増加と特に関連していることが示されました。
コロナウイルス感染症の流行により、患者の医療サービスへの希望や受診の仕方が世界的に変化したと報告されています。日本でも、訪問診療を実施する医療機関を対象としたアンケート調査で、在宅での看取りを希望する患者や、新たに在宅医療を希望する患者の数が増加したことが報告されていました。しかし、実際の在宅死割合の変化は明らかになっておらず、どのような特徴を持つ地域が在宅死の増加と関連しているかの検討もされていませんでした。
そこで本研究は、公開されているデータを用いて、コロナウイルス感染症流行前後での在宅死割合の変化と、在宅死割合の増加と関連する地域要因を明らかにすることを目的としました。
分析の結果、2015年から2021年までの日本の全死亡における在宅死割合は、コロナウイルス流行中の2020年から2021年にかけて増加していることが明らかになりました。また、特にコロナの患者数が多い地域、人口密度が高い地域、機能強化型在宅療養支援診療所・病院が多い地域で在宅死の割合が増加していることが示されました。
本研究の結果から、コロナウイルス感染症流行中に特に都市部で在宅死が増加しており、需要の増加に対して機能強化型在宅療養支援診療所・病院が主な役割を果たしたと考えられました。
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プレスリリース
研究代表者
筑波大学医学医療系/ヘルスサービス開発研究センター
田宮 菜奈子 教授
孫 瑜 助教
掲載論文
【題名】 The change in the proportion of death at home during COVID-19 pandemic and its associated factors in the municipality level:A nationwide study in Japan
(COVID-19パンデミックによる在宅死の増加と関連する要因の検討) 【掲載誌】 JMA journal 【DOI】 10.31662/jmaj.2023-0165