アスリートのバランス能力を、定量的な指標を用いて、競技ごとに両脚型と片脚型に分類する方法を開発しました。これにより、体操競技は両脚と片脚の双方の、一方、サッカー競技は片脚のみのバランス能力に優れているなど、競技ごとのバランス特性が明らかになりました。
アスリートに求められるバランス能力は競技ごとに異なり、各競技のバランス特性を知ることは、より効果的なバランストレーニングの考案に役立ちます。それには統一された評価指標を用いることが必要です。両脚立位と片脚立位の頻度は競技内容によって大きく異なるため、これが各競技のバランス特性を反映する可能性があります。またバランスを構成する要素(身長や足の力、感覚など)について把握することも、トレーニング立案に役立ちます。
そこで本研究では、両脚型としてmIPS(修正姿勢安定度評価指標)、片脚型としてOLS(閉眼片脚立位)による統一的かつ定量的なバランス能力指標を用いて、各競技のバランス特性を検討するとともに、関連する因子について調べました。
大学生およびボートレース訓練生213人を対象に調査した結果、体操選手は両脚バランスと片脚バランスに、ボートレース訓練生は両脚バランスに優れていることが分かりました。また、水泳選手は両脚バランスに劣るものの片脚バランスに優れており、サッカー、柔道、野球の選手はいずれも片脚バランスに優れていることが示されました。バランス能力に関連する因子については、mIPSは身長が低く、膝伸展筋力が強く、足裏の感覚が鋭敏なほど高くなり、OLSは身長が低く、骨格筋量が多いほど高くなることが明らかになりました。
このようなバランス特性やバランス能力に関連する因子を考慮することで、競技ごとのより効果的な新しいトレーニングプログラムの開発につながると考えられます。
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プレスリリース
研究代表者
筑波大学医学医療系
羽田 康司 教授
掲載論文
【題名】 Balance ability characteristics and related factors in athletes across different sports: a preliminary study.
(スポーツ競技におけるアスリートのバランス能力特性と関連因子:予備研究) 【掲載誌】 Healthcare 【DOI】 10.3390/healthcare12222240