80年機に世界のあり方考えて広島平和記念資料館 学芸員神田麻衣子 私はいわゆる就職氷河期世代で、芸術専門学群卒業後、2年前に広島平和記念資料館の学芸職に就くまで、長年茨城県内でさまざまな仕事を経験してきました。転機は、相次ぐリストラで職探しに行き詰まり、うつうつと過ごしていた30代半ば、阿見町が新設した予科練平和記念館の臨時職員の求人でした。予科練は「海軍飛行予科練習生」及びその制度の略称で、今の中高生にあたる若者に搭乗員としての基礎訓練をしていたこと、出身者には特攻隊員として出撃していた者も多かったことを知り、伝承する使命を感じて展示解説員になりました。 その後美浦村役場に入庁し、村内の鹿島海軍航空隊跡地の保存活用を喚起するため、知見を広げようと再び筑波大の門戸をたたきました。行政職を続けながら大学院で戦争遺跡の保存継承の現状を研究し、同跡地の活用方針が決まった後、現職に移りました。今は広島で、あの日原爆で失われたいくつもの未来を想像しながら、被爆の実相と向き合う毎日を過ごしています。 振り返れば、自分が学びたいと思った時にいつでも受け入れてくれたのは筑波大でした。芸専時代に学芸員資格を取得し、仕事の傍ら40代で科目等履修生として近現代史を学び、その後世界遺産専攻で戦争遺跡の研究をしたこと。全てが今につながる道しるべであったと思います。 ここで皆さんに、学徒出陣により海軍に入隊した柳沢信夫さん(終戦直さん 自転車を利用している高齢者は、利用していない高齢者よりも健康寿命が長く、その効果は車の非運転者でより大きい。そんな研究結果を、角田憲治准教授(体育系)らがまとめた。日本では近年、高齢者の運転免許返納が進んでいるが、角田准教授は「高齢者の自転車利用を促進するような社会的支援が望まれる」と指摘する。 この調査は茨城県笠間市の高齢者を対象に実施された。始まったのは2013年だ。 65歳以上の高齢者に調査票を送り、自転車の利用状況を聞いた。有効回答者6385人のその後を10年間追跡調査し、要介護化や死亡のリスクを調べた。要介護化したかどうかは、健康寿命の指標となる。 回答者を平均的な1週間の自転車利用時間に従って▽非利用▽1〜 74分▽75〜149分▽150分以上――の4グループに分けて分析した。その結果、13年に短時間でも自転車を利用していた高齢者は、非利用者に比べてその後10年間の要介護化及び死亡のリスクが低かった。つまり、健康長寿だった。そして、車を運転しない高齢者でその傾向が高まっていた。 角田准教授らは13年の有効回答者のうち、17年に生存し、要介護歴や転出歴がない高齢者3558人を対象に、13年から4年間の自転車利用状況を改めて調べた。 こちらは▽非利用▽利用を開始▽利用を中断▽利用を継続――の4グループに分けて、その後6年間の要介護化と死亡のリスクを調べた。 すると、13〜17年まで自転車利用を継続していた人は、非利用者に比べてその後6年間の要介護化及び死亡のリスクが低かった。さらに、車の非運転者に限った分析では、自転車利用の継続者に加え、開始者も要介護化リスクが低かった。 角田准教授はこれらの結果から「高齢者における自転車利用は、健康寿命と寿命の延伸に貢献し、その効果は車を運転しない人において大きいと考えられる」と指摘する。 笠間市のような中山間地域は公共交通機関が少ない。高齢者は膝に痛みを抱えやすいが、自転車は徒歩より膝への負担も少ない。「車の運転をや角田憲治准教授自転車に乗って健康長寿めた高齢者が自転車を利用するようになれば、徒歩より行動範囲が広がり、人的交流も増える」とそのメリットを説明する。 調査を始めた13年当時は、電動アシスト自転車が現在より普及しておらず、通常の自転車と区別した調査ができていない。今後は電動アシスト自転車と健康維持効果との関係を調べる予定だ。 また、45歳以上のつくば市民を対象に、自転車の健康維持機能についても調査している。 角田准教授自身も子どもの頃から自転車が好きで、現在も大学までの約5㌔を自転車通勤している。「つくば市はペデストリアンデッキが整備され、平地が多いなど、自転車に乗りやすい。どのような調査結果が出るのか楽しみだ」と話した。(川畑悠成=知識情報・図書館学類2年)__