代表者 : 釜江 陽一
大量の水蒸気が、巨大な川のように低緯度域から中緯度地域に流れ込む現象が「大気の川」です。日本列島に水害をもたらすため、大きな注目を集めています。地球温暖化の影響と太平洋高気圧の強まりに伴って、その流量が過去42年間(1981~2022年)で約8%強まっていたことを見いだしました。
日本をはじめとした東アジアの各地では、大量の水蒸気が上空に流れ込む「大気の川」と呼ばれる現象により、ときに線状降水帯が数十本発生するなど、広い範囲で雨雲が発達して水害に見舞われることがあります。特に近年は大気の川による大雨が多発していますが、大気の川そのものの強さに長期的な変化があるのかどうかは、明らかになっていませんでした。
本研究では、機械学習を用いて夏季の日本付近の日々の気圧配置を分類して分析した結果、大気の川は太平洋高気圧が日本の南に張り出し、大量の水蒸気がその縁に沿って流れることで形成されやすいことが分かりました。また、過去42年間で西日本と東日本上空を流れる大気の川の流量が8.3%強まっていることを見いだしました。流量は地球温暖化とともに大気中の水蒸気量が増加することに比例して強まっていました。さらに、太平洋高気圧が強まったことも加わって、近年は特に大気の川の流れが強まる傾向が顕著であったことも明らかにしました。
本研究グループではこれまでに、地球温暖化がこのまま進行すれば夏季に日本列島上で大気の川の強度が増し、極端に強い雨の頻度が増えることを明らかにしています。今回の成果は、過去42年間で既にその兆候が表れていることを示すものです。
PDF資料
プレスリリース
研究代表者
筑波大学生命環境系
釜江 陽一 准教授
北海道大学大学院地球環境科学研究院
佐藤 友徳 教授
掲載論文
- 【題名】
- Increased water vapor transports of atmospheric rivers around the western flank of the North Pacific High since the 1980s.
(1980年代以降の北太平洋高気圧西縁を流れる大気の川による水蒸気輸送量の増加) - 【掲載誌】
- Climate Dynamics
- 【DOI】
- 10.1007/s00382-026-08189-x
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生命環境系