ノンアル飲料の提供は飲酒量を減らし、主観的な健康関連指標も改善する

代表者 : 吉本 尚  土橋 祥平  

ノンアルコール飲料の提供が飲酒量のみならず、メンタルヘルスや慢性的な疲労感、ウェルビーイング指標などの主観的な健康関連指標の悪化抑制または改善につながることを確認しました。ノンアル飲料の提供は労働者の過剰飲酒対策だけでなく心身の健康の促進に貢献する可能性があります。

過剰なアルコール摂取は世界的な課題の一つで、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも関連しています。特に働く世代は飲酒率が高く、過度な飲酒は健康問題だけでなく、仕事中のパフォーマンス低下にもつながることから、職域での減酒対策が重要です。その対策の一つとして、アルコールテイスト飲料、いわゆるノンアルコール飲料(以下、ノンアル飲料)の活用が注目されています。本研究チームではこれまでに、アルコール依存症の患者などを除いた20歳以上の成人にノンアル飲料を提供することで、飲酒量が有意に減少することを確認してきました。一方で、職場で健康増進プログラムを広く導入するには、簡便で取り入れやすく、飲酒量の減少だけでなく心身の健康維持にもつながる方法であることが求められます。

そこで本研究では、過剰飲酒傾向のある労働者を対象に、ノンアル飲料を4週ごとに最大2ケース (1ケース 350 mL缶 24本)、計3回にわたり提供し、飲酒量、労働生産性、慢性疲労感、メンタルヘルス、ウェルビーイングへの影響を検証しました。アルコール依存症の患者などを除いた20歳以上の成人278人を対象に、ノンアル飲料を定期的に提供する群と、提供しない群に無作為に分け、飲酒量、プレゼンティーズム(出勤しているものの、健康上の問題などにより本来の仕事のパフォーマンスを十分に発揮できていない状態のこと)、慢性疲労感、メンタルヘルス、ウェルビーイングを20週まで追跡しました。その結果、介入群では飲酒量が低下し、飲酒頻度も低下しました。また、慢性疲労感、メンタルヘルス、ウェルビーイング関連指標では、対照群にみられた悪化が抑えられました。ただし、プレゼンティーズムには有意な効果は認められませんでした。さらに、飲酒量の減少はメンタルヘルスの改善と関連し、さらに慢性疲労感やウェルビーイングとも関連していました。

 本研究成果は、ノンアル飲料の提供が、職域における過剰飲酒対策として有効であるだけでなく、労働者の心身の健康維持を支援する簡便な方策となり得ることを示しています。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系/健幸ライフスタイル開発研究センター
吉本 尚 准教授

筑波大学体育系/健幸ライフスタイル開発研究センター
土橋 祥平 特任助教

掲載論文

【題名】
Non-alcoholic beverage provision reduces alcohol consumption and improves health-related outcomes, with no effect on presenteeism: A randomized controlled trial.
(ノンアルコール飲料の提供はプレゼンティーズムに影響を及ぼさず、飲酒量を減少させ健康関連指標を改善する:ランダム化比較試験)
【掲載誌】
Scientific Reports
【DOI】
s41598-026-58855-7

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