代表者 : 羽鹿 孝文
「斜面に降った雨の影響が、河川へ急速に伝わり、瞬時に流出として現れる」という現象は、中起伏山地で実証されています。本研究では、降雨と河川の流出を連続観測した結果、500mを超える長大で急峻な斜面を持つ大起伏山地でも、同様の現象が発生することを明らかにしました。
日本アルプスに代表される標高差の大きい大起伏山地では、降雨に伴う河川への土砂の流出が非常に活発です。このような地域の防災や持続的な管理を検討するためには、大起伏山地での観測に基づいて、降った雨が河川に流出するまでのプロセスを解明することが重要です。しかし、起伏が激しい大起伏山地では激しい水や土砂の流出が生じるため観測自体が困難で、これまで、実際に観測を行った事例は世界的にもほとんどありませんでした。
本研究では、大起伏山地の静岡県大井川流域の支川に位置する筑波大学井川演習林内の河川のうち、流域面積が1〜10km2程度の河川7地点において、65件の降雨イベントの水位変動データを得ることに成功しました。このデータに基づき、降った雨が河川に流出するまでのプロセスを分析したところ、降雨イベントによっては、斜面に降った雨の影響は最大でも160分以内に河川へ伝わり、水の流出として現れる場合があることが明らかになりました。この結果は、大起伏山地において、500mを超えるような長大な斜面であっても、斜面内の洪水が非常に速く伝搬し得ることを示しており、大起伏山地の洪水や土砂災害予測の精度向上に貢献すると期待されます。
PDF資料
プレスリリース
研究代表者
筑波大学生命環境系
羽鹿 孝文 特任助教
掲載論文
- 【題名】
- Hillslope lag times for flood runoff are extremely short in high-relief meso-scale catchments
(中規模大起伏山地において、洪水時の斜面の遅れ時間は極めて短い) - 【掲載誌】
- Journal of Hydrology
- 【DOI】
- 10.1016/j.jhydrol.2026.136369
関連リンク
生命環境系