東京大学大学院理学系研究科の大越慎一教授と筑波大学数理物質系の所裕子准教授らの研究グループは、永続的に熱エネルギーを保存できるセラミックス“蓄熱セラミックス”という新概念の物質を発見しました。この物質は、チタン原子と酸素原子のみからできた、ストライプ型-ラムダ-五酸化三チタンという物質で、230kJL−1の熱エネルギーを、60 MPaという弱い圧力を加えることで自在に取り出すことができるため、太陽熱発電システムや工場廃熱用の蓄熱材として、蓄熱エネルギーを再生利用できる新材料です。この“蓄熱セラミックス”は、電流を流す・光を照射するという方法でも、金属状態と半導体状態の間をスイッチングできる物質であるため、感圧伝導度センサーや、電流駆動型の抵抗変化型メモリー(ReRAM)、光記録メモリーなどの先端電子デバイスとしての新部材としての可能性も期待できます。