2015/05/28
筑波大学生命環境系の中野裕昭准教授ほか、全国10研究機関の研究者18名による研究グループは、相模湾とその周辺海域から、新種の海産動物約50種の採取に成功しました。
筑波大学下田臨海実験センターと東京大学海洋基礎生物学研究推進センターの連携による組織「マリンバイオ共同推進機構JAMBIO」は、日本の海洋生物学分野の共同利用・共同研究を推進することにより、全国的に大きな広がりを見せる研究者コミュニティの学際的共同研究を加速させることを目的としています。JAMBIOでは主催プロジェクトの一つとして、JAMBIO沿岸生物合同調査を筑波大学下田臨海実験センター、及び東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所において行ってきました。相模湾とその周辺海域の沿岸域に生息している大きさ数cmの動物種を調べることが本調査の目的です。調査は全国の研究者の協力を得て、これまで6回開催した調査には全国15の研究機関からのべ109名が参加しています。
6回の調査で得られた動物にはまだ種の同定が終わっていないサンプルも多数残っていますが、これまでに少なくとも18門250種以上の動物が見つかっており、それには約50種の新種が含まれています。また、多様性や動物分類学だけではなく、系統地理学、生態学、環境学などにとっても重要な発見がなされています。今後も調査を継続することで、日本の生物相の豊かさが明らかになるとともに、日本の海洋生物学者のネットワークが構築されることが期待されます。
図 JAMBIO沿岸生物合同調査で発見された新種の動物。A,B: 節足動物門 甲殻亜門 軟甲綱 タナイス目。C: 節足動物門 甲殻亜門 軟甲綱 等脚目。D: 紐形動物門。図はRegional Studies in Marine Scienceの該当論文から引用。