2015/08/22
筑波大学数理物質系 小林航助教、守友浩教授らは、正極と負極に同一の層状酸化物NaxMO2(M:遷移金属)を用いたコイン型電池セル(電池型サーモセル)が、温度差印加に伴い熱電変換効果(電気化学ゼーベック効果)を示すことを実証しました。
特にコバルト酸ナトリウムを電極に用いた電池型サーモセルにおいては、通常のゼーベック効果とは異なり、電圧に時間依存性が見られることがわかりました。これは温度差印加に伴い、ナトリウムイオンが電極活物質内で脱離・挿入反応を起こしていることにより説明されます。本サーモセルの製造にはイオン二次電池技術が適用できるため、安価な熱電変換素子の新たな候補として研究されることが期待されます。
図 本研究で用いた電池型サーモセルの模式図。同一の活物質を含んだ正極・負極および電解液から構成される。正極・負極活物質はNaxMO2(M:遷移金属)であり、単位当たり1個のナトリウムイオンを包含する。