代表者 : 守友 浩
2015/10/06
筑波大学 数理物質系 守友浩教授、物質・材料研究機構 太陽光発電材料ユニット 安田剛主任研究員らの研究グループは、時間分解された誘導吸収スペクトルを定量的に成分分解することにより、運動エネルギーの高い励起子のみが電荷生成に寄与することを発見しました。有機太陽電池の光電効果の解明により、高効率化に向けた設計指針が得られると期待されます。
実用化されている無機太陽電池に対して、有機太陽電池では励起子が極めて安定です。したがって、有機系太陽電池における光から電流への変換(光電効果)を起こすには、まず、ドナー/アクセプター界面において励起子が電子と正孔に分離しなければなりません。しかしながら、励起子がどのように分離するのか、その必要条件は何か、に関してはよく分かっていませんでした。そこで、本研究グループは、励起子の数と電荷の数が時間とともにどのように変化するかを精密に調べました。その結果、遅れて界面に到達する励起子は電荷に分離できないことが明らかになりました。つまり、運動エネルギーの低い励起子は電荷生成に寄与しない、ということの実験的証拠を捉えました。
図 成分分解によって得られたドナー励起子の数、アクセプター励起子の数、電荷の数と遅延時間の関数