筑波大学 数理物質系 西堀英治教授、笠井秀隆助教、数理物質科学研究科 佐々木友彰(博士後期課程3年)は、大型放射光施設SPring-8の高エネルギー放射光X線粉末回折により、アルミニウムの精密な電子分布を観測し、これまで知られていなかった電子分布の存在を確認しました。
精密な電子分布の観測には、多数の反射の構造因子が必要です。本研究では、放射光粉末回折による多数の構造因子の精密測定により200本を超える反射を利用し、電子分布を観測しました。その結果、過去の研究と同様の電子密度の集積が確認されました。さらに詳しく電子密度分布を調べたところ、アルミニウム原子の周りに方向性を持った電子分布の存在が確認されました。この電子分布は、過去の実験や理論計算で全く予測されていなかったもので、その起源は、原子軌道的な電子を示していることがわかりました。
図 実験と理論計算でのアルミニウムの金属結合の分布。
左側は分布図の面の位置と図中の配置。tは四面体サイト、oは八面体サイト。図の中心はアルミニウム原子。等高線の間隔は0.005 e/Å3。