高等教育におけるニューロダイバーシティの実現に関する研究

代表者 : 竹田 一則    
他のメンバー : 五十嵐 浩也  野呂 文行  

最近では「発達障害」という言葉の認知度が一般に広まってきていますが、発達障害という固有疾患があるのではなく“全ての人間の脳はそもそも多様である”という神経学的多様性(neurodiversity:ND)の考え方が学術的に提唱され始めています。そこで、高等教育や就労支援を受ける多様な発達特性のある方の困難を「社会の側にある障害(社会モデル)」として捉えた新たな支援の枠組みの構築が必要です。
本リサーチユニット(RU)は、発達障害など「見えない」障害のある学生を、医学的診断の有無に関わらず、誰一人取り残さず、社会で活躍できる人材へと教育するためのモデル構築を目指しています。NDの考え方のもと、学生生活・社会参加に困難を有する学生の神経学的多様性を適切に評価(アセスメント)し、社会で活躍できるように伸ばしていく支援方法を調査・開発・普及しています(下図)。
本研究は、筑波大学ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリア(DAC)センターが中核機関となり、学生のアセスメント/支援モデルを開発・展開しています。また、他大学や企業等、発達障害当事者とも連携して、開発された支援ツール等の社会実装も進めています。
これまでの本RUの研究活動を通して開発された支援情報配信サービス「Learning Support Book(LSB)」は、全国45大学の教職員に試験配信され、診断の有無を問わず、各大学の教育活動に活用されています。
今後は、支援方法の研究開発と共に、国内外における高等教育・就労支援での実態調査を通じて、グローバルかつ日本の文化に即したモデル構築を目指します。