データ駆動科学による自然科学データの潜在情報抽出|五十嵐康彦| 筑波大学研究者カタログ

代表者 : 五十嵐 康彦  

Keyword

データ駆動科学、機械学習、スパースモデリング、マテリアルズインフォマティクス

研究テーマ

  • データ駆動科学による自然科学データの潜在情報抽出

研究ハイライト

材料科学、防災科学、認知科学などにおける自然科学データに潜む情報を恣意性なく抽出する、データ駆動科学 (Data-driven science)を行っています。これらの多様な分野における諸問題の本質的な部分を数理問題に抽象化することで、それらの分野に共通した部分と、特徴的な部分とに分け、データ解析の目的に応じたデータ解析を行っています。これによってデータ駆動科学の推進を深化させるだけでなく、それらに共通した問題の解決によりデータ駆動科学の新たな展開が期待できます。例えば、先日報道されたブラックホールの直接撮像を可能にした電波干渉計による天体観測、MRIによる医用画像処理、NMRによる構造解析といった異なる分野の計測も、フーリエ変換やウェーブレット変換がその共通した数理として中心的な役割を担います。このことから、各分野における欠損データ/解析の高速化といった問題が、共通した数理基盤(基底)を通して理解され、知識移転が促進しています。

このような画像処理やデータに潜む本質的な情報(ルール)の抽出において、重要な説明変数は少ない(スパース)であることを事前知識として用いたスパースモデリングが必須のキーテクノロジーとなっており、五十嵐はスパースモデリングによるデータ駆動科学の展開を中心テーマにして研究しています。

具体的には、これまで実験科学とデータサイエンスの融合による材料開発の促進を目指したマテリアルズ・インフォマティクスを中心に研究を行ってきました。これにより,ナノ材料の高効率合成やリチウムイオン電池における有機負極の材料探索に展開した研究を行っています。こうした手法により、電池、触媒、センサーなどの多様な応用での研究開発を加速すると同時に、実験科学者もマテリアルズ・インフォマティクスを積極的に活用することで実験をより高効率に進められることを示しています。

研究の応用・展望

  • 複数の計測データの統合や計算と実験の融合による、先進的なマテリアルズ・インフォマティクス構築
  • 防災科学や材料科学への展開に向けた複数階層における情報統合のための基盤技術構築

文献・知財・作品

  • Igarashi, Yasuhiko, et al. “Three levels of data-driven science.” Journal of Physics: Conference Series. Vol. 699. No. 1. IOP Publishing, 2016.
  • Igarashi, Yasuhiko, et al. “Maximum tsunami height prediction using pressure gauge data by a Gaussian process at Owase in the Kii Peninsula, Japan.” Marine Geophysical Research 37.4 (2016): 361-370.
  • Nakada, Gentoku., Igarashi, Yasuhiko., Imai, Hiroaki., & Oaki, Yuya. “Materials‐Informatics‐Assisted High‐Yield Synthesis of 2D Nanomaterials through Exfoliation.”  Advanced Theory and Simulations2(4) (2019): 1800180.
  • AI for Scienceとデータ駆動科学―ベイズ計測とVMAの提案― 五十嵐康彦,竹中光,永田賢二,岡田真人,応用統計学,45巻(2016) 3号

https://www.cs.tsukuba.ac.jp/~igayasu1219/

40733085

医学医療系

Faculty of Engineering, Information and Systems